質問 年を取ると身体のあちこちに不調が出たり、
いろいろな病気にかかりやすくなるのは、どうしてですか?
この質問は、三つに分けてお答えしましょう。
まず第一に正常な老化でも、およそ体中の全てが徐々に衰えていきます。 従って、若い頃には何の苦もなくできたことが難しくなってくる場面に遭遇するケースが増えてきます。 これを不調と感じることも多いでしょう。
第二に年を取るにつれて知らぬ間に、細胞死の増加、遺伝子異常の蓄積、免疫機能の低下、 ホルモンバランスの変調などの体に好ましくないが変化が起こります。
こうした変化は、それぞれが病気にかかりやすい状態を造り出します。
正常な老化でしたら、たとえば心臓が少し弱くなったと思うだけかもしれませんが、 急激な細胞死が進行すれば心臓病を患うことになります。
また、遺伝子異常の蓄積は癌発症の可能性を押し上げますし、 免疫能の低下はインフルエンザなどの感染症に侵されやすくなります。
ホルモンバランスの変化は、特に女性においては骨粗鬆症などの原因となります。
では、第三にどうして好ましからざる変化、すなわち老化が進行するのでしょうか?
最初の質問でも触れましたが、最も有力な仮説は、 活性酸素による酸化ストレスの蓄積が老化を促進しているとする説です。
細胞にはミトコンドリアと呼ばれるエネルギーの生産工場があります。 ここで酸素を使うのですが、一部が有害な活性酸素となり脂質を過酸化したり、 タンパク質や遺伝子を傷つけたりします。
こうした酸化ストレスの蓄積が、細胞の機能を変質させたり、細胞死を引き起こすのです。
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